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施工事例
リフォーム

志賀高原・熊の湯ホテルとスキー場リフト小屋|雪と山の環境に強い建物を

山ノ内町志賀高原・熊の湯。
冬はスキー客や温泉客で賑わうこの地で、熊の湯ホテルの浴場リフォームと、熊の湯スキー場リフト小屋の新築工事を行いました。

 

標高の高い山間地では、積雪や温泉成分など、自然環境が建物に与える影響も大きくなります。
「どうすれば長持ちさせられるか」「どうすれば安全に使い続けられるか」

その答えを一つひとつ、現場で見極めながらの施工でした。

 

■熊の湯ホテル:大浴場・露天風呂リフォーム

志賀高原・熊の湯──その名の由来は、「足に怪我を負った子熊が患部を湯にさらしていた」「この温泉を利用して熊が傷を癒していた」という地元の逸話から、いつしか“熊の湯”と呼ばれるようになったと伝えられています。

 

熊の湯温泉は、鮮やかな黄緑色がかった湯が特徴で、硫黄の香りが立ちのぼります。
日本三大美人の泉質とされる「炭酸水素塩泉」「硫酸塩泉」「硫黄泉」のすべてを含む、pH7.5の弱アルカリ性の湯。
肌をすべすべにする“美肌の湯”として知られる一方で、温泉成分が強いため金属が錆びやすく、建物の維持管理には高い技術と経験が求められます。

 

⚫︎大浴場の床/女性露天風呂の塀・床改修

志賀高原は一昔前、勉強合宿やスキー合宿に大型バス何台もに分かれて訪れるほど、多くの団体客でにぎわっていました。
そのため、今も大人数に対応できる大きなホテルが多く残っています。熊の湯ホテルもその一つです。

 

浴場もとても広く、床板や屋根を張り替えるだけでも大掛かりな作業になります。
今回は、大浴場の床と屋根、女性露天風呂の塀と床を中心に改修を行いました。

 

床・壁・天井まですべて木で仕上げられた浴場は、垂木(たるき)を見せた「あらわし」構造の天井が印象的です。
既存のヒノキ板の下地はまだ十分に強度があったため、全面やり直しはせず、その上に新しいヒノキ板を増し貼りする方法を採用。
こうすることで、コストを抑えつつ、安全性と美しさを両立しました。

 

 

また、乾燥したままの木材を使うと施工後に収縮して隙間ができてしまいます。
そのため、2日ほど貯水場の水に浸けて水分を含ませてから施工。
木の性質を熟知した職人だからこそできる、丁寧な工夫です。

 

⚫︎浴場の屋根改修

屋根のトタンは一部が溶けるほど傷みが進んでいました。
熊の湯は標高が高く、長期間にわたって雪が積もるため、屋根には大きな負担がかかります。
特に、凍結と融解を繰り返すことでトタンが傷みやすく、錆びや変形を引き起こす原因にもなります。

 

下地はまだしっかりしていたため、今回は剥がさずに既存トタンの上から12mmのコンパネ(ベニヤ)を貼り、一文字葺きの新しいトタンで仕上げました。

全面やり替えが理想ではありますが、施工コスト・工期・建築確認の有無といった条件を踏まえ、現場にとって最も現実的で耐久性の高い方法として重ね張りを選択。
限られた条件の中でも、できる限り長く安心して使えるよう工夫を重ねています。

 

■熊の湯スキー場管理棟:雪囲いの改修

熊の湯ホテルから10mほど離れた場所にあるスキー場の管理棟では、雪囲いの板と金物が雪の重みで変形していたため、新調しました。

 

従来は上から板を差し込むL型金物を使用していましたが、雪解け時の重みで金物が引っ張られ、曲がってしまっていました。

 

今回は横から板をはめ込むD型の十手金物を採用し、厚みのある金物で強度を確保。

雪国の厳しい条件下でも長持ちする仕様としました。

 

■熊の湯スキー場:リフト小屋新築工事

熊の湯スキー場の頂上(標高1,920m)にあるリフト小屋を新築しました。

 


頂上まではリフトを乗り継いでたどり着く場所で、風が強く、霧や雨が急に発生する厳しい環境です。
9月末の施工時でも、ダウンジャケットが必要なほどの寒さでした。

急斜面での資材搬入は容易ではなく、マニュアル車のトラックで、ローギアで登るような道のり。
土砂降りの際には滑って登れないこともありましたが、安全に配慮しながら、4~5日間で完了しました。

 

リフト小屋は頂上までの途中にもありますが、標高の高い頂上は特に風雪の影響を受けやすく、同時期に建てた建物でも劣化が早く進みます。
そのため、今回は耐久性を最優先に設計し、厳しい自然環境に長く耐えられる仕様としました。

 

 

 

なお、熊の湯スキー場の2025–2026シーズンは、11月15日(土)オープン予定とのこと。
ホテル、管理棟、頂上のリフト小屋と、新シーズンを迎える準備が整いました。

 

熊の湯ホテル:https://www.kumanoyu.co.jp/hotel/index.html

熊の湯スキー場:https://www.kumanoyu.co.jp/lift/index.html

 

■山の厳しい自然に耐える、確かな施工技術

標高の高い山間地では、気温差や積雪、温泉成分などによって、建物へのダメージが平地よりも格段に大きくなります。
熊の湯ホテルやスキー場のように多くの人が訪れる場所では、「安全」と「快適さ」を両立した工法と職人の確かな判断が欠かせません。

 

大津工務店では、熟練大工の豊富な経験と技術を生かし、自然環境に配慮しながら、長く安心して使える地域の建物を実現しています。

 


- これからも地域の安心と快適を支える建物づくりを -

老朽化した建物の修繕や、雪国ならではの環境対策など、建物に関するお困りごとはお気軽にご相談ください。

大津工務店は、地域の暮らしとリゾートを支える建築を通して、10年後も、そして世代を超えて安心して使い続けられる建物をつくってまいります。

 

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